空き家を未来につなぐ、若き想いと実行力──水戸「みらい不動産」の挑戦

古民家をリノベーションした事務所

茨城県水戸市。市街地から少し離れた住宅街に、ひときわ目を引く古民家があります。

築90年のその建物が、今では「みらい不動産」の拠点として活用されています。

古い家屋の風情を残しながらも、すっきりとした白壁とおしゃれなガラスの引き戸が印象的なその事務所に足を踏み入れると、木の温もりと静かな空気が広がります。

そこにいるのは、空き家活用に情熱を注ぐ、若いスタッフと、静かに熱を帯びた眼差しの社長でした。

古民家をリノベーションした事務所の内装
古民家をリノベーションした事務所
目次

空き家活用の最前線で働く、若き挑戦者

迎えてくれたのは、空き家活用を担う部署に所属するカナさん。

22歳の彼女はまだ入社1年目の新卒社員ながら、空き家を借り上げて活用するという、みらい不動産の新たな挑戦の一翼を担っています。

カナさんは、これまでに15回もの引っ越しを経験してきたという特異なバックグラウンドの持ち主。

その経験から「住まい」の不安定さや大切さを身をもって感じ、空き家を活用してライダースハウスを作りたいという夢を抱くようになりました。

古民家の前でバイクを見つめる女性
バイク好きなカナさん

現在は、宅地建物取引士の資格取得に向けて多忙な業務の合間に勉強中。

インタビューでは「お休みはあるんですか?」という質問に「いちおう…あります(笑)」と笑顔で答えてくれました。

若さと行動力、そして個人の体験に裏打ちされた空き家へのまなざし。それが、彼女の大きな原動力になっています。

代表・関さん──「空き家問題を日本一解決する」その野望と覚悟

代表の関さん
みらい不動産代表の関さん

取材の途中から合流してくれたのが、代表の関さん。

3歳の男の子を育てるパパでもあります。落ち着いた語り口と、芯の強さを感じさせる眼差しが印象的です。

関さんはもともと建築現場の監督として働いていた経歴を持ち、一級建築士と宅地建物取引士の資格も持つ実力派。

現場のリアルを知った上で、「空き家の現場にこそ未来がある」と確信し、未経験から不動産会社を立ち上げました。

「目指すのは、日本で一番空き家問題を解決する会社になること。まずは1万棟を目標にしています」

そう語る関さんが、何より重視しているのは「どれだけの空き家を活かせるか」という“数”です。

1棟でも多く、使ってもらえる空き家を生み出す。

見た目の派手さではなく、実際に動いた件数こそが価値だと考えています。

「まずは一万棟!」と語る言葉には誇張はなく、その裏に確かな熱意が感じられました。

空き家の借り上げ──所有者の不安をなくす新しい選択肢

きれいな状態の空き家外観
茨城県ひたちなか市で借り上げている物件

みらい不動産では、所有者が空き家の活用に悩んでいる場合、物件を借り上げる仕組みを提案しています。

所有者から空き家を一定期間借り受け、必要に応じてリフォームを施し、賃貸住宅へと用途を切り替えます。

売却や固定資産税対策とは違った、新しい空き家活用のアプローチです。

「空き家を貸す」と聞くと、所有者側はトラブルや管理リスクを心配しがちですが、借り上げ方式であれば、所有者の手間を最小限に抑えつつ、利活用のハードルを下げることが可能になります。

たとえば、実際の事例として、茨城県内で月額1,000円で借りた物件を修繕後に7万円で賃貸し、年間約82万円の利益を上げているケースもあります。

「実際の現場では、思っていた以上に手ごわいことも多いです」と、関さんは静かに笑います。

「荷物が散乱していて、どこから手をつけていいかわからない家もありました。庭は草がボーボーで、なんとハクビシンが住み着いていたことも…」

ときには、家全体が傾いていたり、雨漏りがひどかったりして、「これはもう解体して土地として売った方がいい」と判断したケースもあったそうです。

散らかった部屋の空き家
20年間空き家だった家 たくさんの荷物で溢れていたが、定期的に管理されていたので状態はよい
ハクビシンの糞が散らばっている空き家
ハクビシンのものと思われる糞が床に散乱してい
天井から雨漏りしている部屋
雨漏りで今にも剥がれ落ちそうな天井

すべての空き家を無理に活かそうとするのではなく、その家に合ったかたちで手放すことも選択肢のひとつ。

そんな柔軟で現実的な考え方が、みらい不動産の空き家との向き合い方です。

全国に広がる仲間──TEAM R(チームアール)の存在

みらい不動産広告

みらい不動産が立ち上げた「TEAM R(チームアール)」は、全国の空き家問題に挑むためのプロジェクトです。

TEAM Rの「R」は、Revitalize(再生、命を吹き込む)を意味します。

目指すのは「10万棟」の空き家を、使ってもらえる家として生まれ変わらせること。

リノベーションやデザインにこだわるのではなく、「ペット可」などの小さな工夫でも、住む人が現れればそれはもう“空き家”ではないという考え方が根底にあります。

現在、以下の地域でチームメンバーが活動しています。

・茨城県:中央エリア、霞ヶ浦エリア、つくばエリア

・栃木県:小山エリア

・神奈川県:相模原エリア

・兵庫:神戸エリア

・北海道エリア

全国各地で「空き家を活かしたい人」が、自分の地域でひとつずつ実績を積み重ねています。

TEAM Rでの活動は、誰もがチャレンジできる

パソコンで作業している手元

TEAM Rは、宅建資格がなくても参入できる仕組みを整えています。

・登録料と基本料金のみ、成約マージンなし

・賃貸先の集客や契約対応はすべて本部が代行

・月2回のオンラインミーティングや、チラシ・マニュアルの提供など手厚いサポート体制

「副業として空き家に取り組みたい」「地域の空き家をどうにかしたい」といった方でも無理なく始められます。

低リスク・低資本で始められ、地域貢献にもつながる。まさに新しい時代の不動産事業といえるかもしれません。

「まちをつくる」気持ちで、空き家と向き合う

緑あふれる街の風景

関さんが目指しているのは、単なる不動産取引ではありません。

空き家を活用することで地域の課題を解決し、まちに新たな命を吹き込む「まちづくり」そのもの。

地域に根ざしながら、空き家を動かせる人を増やしていく──その思いが、彼の静かな情熱の根底に流れているようです。

地域にはまだまだ、使われずに眠っている空き家がたくさんあります。TEAM Rの仲間たちは、そうした家々にそっと手を差し伸べ、「使ってもらえる家」へと変えていく。

10万棟という大きな目標は、関さんひとりでは到底届きません。でも、想いを共有し、動ける人が増えていけば、きっと現実に近づいていくでしょう。

空き家を未来につなぐ選択肢として

丁寧に保存されていた空き家
築55年超の空き家 きちんと手入れされていた

今、空き家に悩んでいる方へ──。

売るか、貸すか、放置するか。いろんな選択肢がある中で、「借り上げて活かす」という道があることを、ぜひ知っていただきたいと思います。

空き家は、過去の遺産ではなく、未来の入り口。みらい不動産の挑戦と、TEAM Rの仲間たちの活動が、その可能性を広げています。

会社概要

会社名:株式会社みらい不動産

代表取締役:関 達彦

設立:2018年2月20日

所在地:〒310-0041 茨城県水戸市上水戸3-8-7

電話番号:029-239-3109

FAX番号:029-307-8057

免許番号:茨城県知事(2)第7225号

資格等:一級建築士、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

HP:【公式】茨城県水戸市の株式会社みらい不動産

HP:TEAM R(チームアール)|空き家貸して下さい!

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