相続した実家が空き家なんだけど、たまには換気したり、掃除したりする必要はあるのかな?
家も人間と同じで呼吸するんだよ!管理しなかったら急速に老朽化して、建物の価値がゼロなんてことに!
将来、相続した実家を売る、貸す、使う、いずれにしても
家を維持していくには管理が必要です。
ここでは、自分で出来る空き家の管理方法を解説します。
空き家管理が必要な理由
空き家管理が必要な理由は、社会的・経済的なリスクを防ぎ、資産価値を維持するためです。放置された空き家はさまざまな問題を引き起こし、所有者や地域社会に悪影響を及ぼす可能性があります。以下に主な理由を詳しく説明します。
1. 建物の劣化防止と資産価値の維持
- 建物の劣化を防ぐ
空き家は人が住まなくなると、湿気や温度変化により建材が劣化しやすくなります。定期的な換気や清掃がないと、腐朽やシロアリ被害が進行します。 - 資産価値の保全
適切に管理された空き家は、資産価値を維持できますが、放置すると修繕費が増え、売却時の価格も大きく下がります。
2. 災害リスクと安全対策
- 倒壊のリスク
老朽化した空き家は、地震や台風などの災害時に倒壊する危険があります。周囲の建物や人に被害を与えると、所有者に損害賠償責任が発生する可能性があります。 - 火災・放火の防止
放置された空き家は放火の対象になりやすく、近隣への被害が拡大する恐れがあります。管理が行き届いていると防火対策が可能です。
3. 治安悪化の防止
- 不法侵入や不法占拠
管理されていない空き家は、不法侵入者や不法占拠者の温床となる場合があります。空き家を管理することで、こうしたリスクを減らせます。 - 不法投棄の防止
ごみの不法投棄が増えると、衛生面でも問題が生じます。管理が行われていると、地域の治安が保たれます。
4. 地域社会への影響防止
- 景観の悪化防止
空き家が荒れ果てると、地域の景観が損なわれ、周辺の不動産価値にも悪影響を及ぼします。これにより、地域の魅力が低下します。 - 近隣住民とのトラブル防止
空き家が原因で害虫や害獣が発生すると、近隣住民とのトラブルにつながることがあります。適切な管理でこれを防ぐことができます。
5. 法的リスクの回避
- 行政からの指導・命令
「空家等対策特別措置法」に基づき、適切に管理されていない空き家は「特定空家」に指定され、行政からの指導や罰則、さらには強制解体が行われることもあります。 - 固定資産税の優遇措置解除
特定空家に指定されると、住宅用地の固定資産税軽減措置が解除され、税負担が大幅に増加する恐れがあります。
空き家管理は、資産の保全、地域の安全確保、法的リスクの回避の観点から非常に重要です。管理を怠ると大きな経済的損失や社会的責任を負う可能性があるため、定期的な点検・清掃やプロによる管理代行の活用が推奨されます。
空き家を放置するリスクについては
下記記事が参考になるよ!
空き家を放置すると様々なリスクが!固定資産税6倍!損害賠償まで!?
維持管理にかかる費用はどれくらい?
空き家の維持・管理にかかる費用は、建物の状態や立地、管理内容によって異なります。以下は一般的な費用の目安です。
1. 固定費用
これらは所有している限り毎年発生する費用です。
① 固定資産税・都市計画税
- 年間費用:10万〜30万円程度(建物や土地の評価額による)
- 一般的な住宅用地は固定資産税が軽減されますが、空き家の状態次第で優遇が解除される場合があります。
② 火災保険・地震保険
- 年間費用:2万〜5万円程度(建物の構造や地域による)
- 空き家でも火災保険は推奨されます。リスクが高い場合、保険料が上がる可能性があります。
2. 維持管理費用
空き家の状態を保つために必要な費用です。
① 清掃・換気・点検
- 定期巡回サービス:月1回程度の巡回で、年間5万〜15万円程度
- 内外部の清掃、換気、簡易点検を行う費用です。
外部の管理サービスを利用しないで、自分で管理すれば、この費用はかからないね!
実家が遠方にある人は、自分で管理するのに交通費がかかるのを忘れずに。
遠方で自主管理が大変な人は定期巡回サービスは助かるね!
② 庭や敷地の手入れ
- 草刈り・庭木の剪定:1回あたり1万〜5万円程度
- 雑草の除去や樹木の剪定を年2〜3回行うことが多いです。
梅雨時期の雑草の成長スピードはすごいよね
うちの実家の庭も、アッという間に草ボーボーになるよ
シルバー人材センターでも庭の剪定をしてくれるよ◎
③ 修繕・補修
- 軽微な修繕(屋根や壁の補修):年間5万〜20万円程度
- 大規模な修繕(屋根の葺き替え、外壁塗装)は数十万円〜数百万円かかることも。
3. 追加費用(必要に応じて)
① 水道・電気・ガスの基本料金
- 空き家を維持するために契約を継続する場合、年間5万〜10万円程度かかります。
・電気は換気扇など回しておけるから継続するのがおすすめ
・ガスは使う機会がないなら解約しても〇
・水道は、管理の際に洗面所や台所の通水、トイレなどで使用するならそのまま契約しておく。ただし、あらかじめ水を持参できるなら解約してもいいよ
② 害虫・害獣駆除
- シロアリや害獣の駆除費用は数万円〜数十万円程度かかることがあります。
③ 解体費用(最終手段)
- 建物を解体する場合、坪あたり4万〜8万円程度。
- 30坪の家であれば、120万〜240万円程度の費用が見込まれます。
年間の維持費用の目安
簡易管理(最低限の維持)
→ 年間15万〜30万円程度
充実管理(修繕や庭の手入れ含む)
→ 年間30万〜50万円以上
管理に行く前に準備しておくこと
空き家を自分で管理する場合、効率的かつ安全に作業を進めるために事前準備が重要です。以下に準備しておくべきことをまとめました。
1. 道具や備品の準備
空き家の管理作業に必要な道具を揃えておくことで、作業がスムーズに進みます。
必要な道具・備品
- 清掃時服装:軍手、軍足、室内履き、長靴、レインコート
- 清掃用品:ほうき、モップ、雑巾、掃除機、ゴミ袋
- 庭の手入れ用具:草刈り機、剪定ばさみ
- 工具:ドライバー、ハンマー、スパナ、脚立
- 防護用品:マスク、ゴーグル、手袋(作業時の安全確保)
服装は掃除しやすい服装で行こう。
レインコートは、屋外で水を使った掃除や、浴室、床下や屋根裏などのホコリが多いところに入るときに役立つよ!
その他の備品
- 換気用の扇風機(湿気対策)
- 消臭剤・除湿剤(湿気やカビの予防)
- 害虫駆除剤(シロアリ、ゴキブリ、ネズミ対策)
- 懐中電灯(電気が停止している場合)
- ブルーシート
あると便利なのがブルーシート。
・荷物を置く
・水で濡らしたしたくないものにかける
・車でゴミを持ち帰るときに車内に敷く
・雨漏りにも応急処置ができる
何枚かあると便利だね!
2. 作業計画の立案
訪問時の作業内容を事前に決めておくと、効率的に管理できます。
作業内容のリスト化
- 建物内部の確認:
- 換気、室内清掃、窓やドアの状態確認
- 水回りのチェック(蛇口、排水口の動作確認)
- 建物外部の確認:
- 屋根や外壁のひび割れ、雨樋の詰まり確認
- 庭や敷地の草刈り、雑草の除去
- 電気・水道の動作確認:
- 電気・水道・ガスの使用状況を確認し、異常がないか点検
管理チェックシートを作成して、作業で抜けが無いか確認しよう!
3. 安全対策の確認
空き家は長期間放置されているため、事故や怪我を防ぐための安全対策が重要です。
安全確認ポイント
- 危険箇所のチェック:
- 床の抜け落ちや崩れそうな場所がないか確認
- 階段や屋根など高所での作業は慎重に
- 害虫・害獣の確認:
- 作業前に害虫やネズミの痕跡がないか確認する
- 応急処置セットの準備:
- 万が一の怪我に備えて、救急箱を用意しておく
4. 管理スケジュールの設定
空き家の管理は定期的に行う必要があります。
管理頻度の目安
- 春〜秋:月1回程度(雑草の成長が早く、害虫も発生しやすい)
- 冬:2〜3ヶ月に1回(湿気対策や建物の点検)
5. 近隣住民や自治体への連絡
空き家を管理する際、周囲との関係も大切です。
- 近隣住民への挨拶:作業の際に騒音が出る場合は事前に伝える
- 自治体の相談窓口:空き家管理に関するサポートや情報提供を受ける
自分で空き家を管理するには、ご近所さんとの関係維持はとっても大事だよ!何かあったときにフォローしてくれるのがご近所さん。作業を行う前にも挨拶しておこう!
空き家の管理手順
空き家を自分で管理する際の作業手順を、効率的に進めるためのポイントを含めて説明します。以下の手順に沿って作業を進めると、効果的に空き家の状態を保つことができます。
1. 安全確認
管理作業に入る前に、安全確認を行います。
①安全確認
- 家に入る時、玄関や勝手口、窓の施錠がされているか確認。
- 害虫や害獣の痕跡(糞、巣など)を確認し、必要に応じて駆除剤を用意。
②ポストを確認
- チラシが溜まっていたら処分します。
- 大事な郵便物は、送付元に連絡して届け先を変更してもらいましょう。
2. 室内作業(約1〜2時間)
① 換気作業
- 室内に入る時は、持参した軍手や室内履きを使用します。
- 全ての窓やドアを開けて、空気の入れ替えを行います。
- タンスや押し入れも開けて換気します。
- 室内に湿気が溜まりやすいため、扇風機や除湿剤を使うのも効果的です。
② 清掃作業
- ほうきや掃除機で床を掃除し、ホコリやゴミを除去。
- キッチンや水回り(シンク、トイレ、浴室)を重点的に清掃し、カビの発生を防ぎます。
- 窓ガラスやサッシの汚れを拭き取り、結露やカビを防ぎます。
③ 給排水化管の通水
- 蛇口を開けて水漏れや錆びの確認。
- すべての排水溝に水を流します。1分程度水を流し通水します。
- 台所
- トイレ
- 洗面所
- 浴室
- 洗濯機スペースの排水溝 など
【通水について】
長い間通水しないと、水道管がサビついて破損につながるよ!
水道管が破損すると修理や交換に多額の費用がっ!
④ 電気設備の点検
- 照明、コンセント、家電が正常に動作するか確認。
- 電気が通じない場合はブレーカーを確認し、漏電がないか注意します。
【漏電の調べ方】
3. 屋外作業(約1〜2時間)
① 敷地・庭の清掃
- 雑草が生えていれば草刈り機や鎌で除去。
- 枯れ葉やゴミをほうきや熊手で掃き集めて処分します。
② 庭木の剪定
- 庭木が隣地や道路にはみ出していないか確認します。
- 剪定ばさみを使い、伸びすぎた枝や枯れ枝を切り落とします。
- 高所作業が必要な場合は脚立を使い、安全に作業しましょう。
③ 水道メーター・外壁・ブロック塀・屋根・雨樋の点検
- 水道メーターで漏水をチェック。パイロットが止まっているか、使用量の不自然な増加はないか確認しましょう。
- 外壁のひび割れや塗装の剥がれを目視で確認。
- ブロック塀の安全を確認 倒壊すると人に危害を加えてしまう可能性があります。下記のチェックポイントで確認しましょう。
- 雨樋の詰まりや破損がないか、雨水が正常に流れるかをチェック。
【水道メーターの確認方法】
【外壁のひび割れ】
【ブロック塀の点検】
出典:国土交通省ホームページ ブロック塀等の安全対策について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/blockbei.html
【雨樋の詰まり】
4. 害虫・害獣対策
① 害虫駆除
- シロアリやゴキブリの痕跡がある場合は、駆除剤を使用。
- 蜘蛛の巣や蜂の巣があれば取り除きます。
【シロアリ被害について】
② 害獣対策
- ネズミやイタチの侵入を防ぐため、隙間をふさぐ。
- 被害がある場合は忌避剤を使用するか、専門業者に相談します。
蜂やシロアリなど、人や家に重大な被害を加える害虫、害獣の駆除は、決して無理せず、専門の業者に依頼しよう!
5. メモや記録を残す
① 状態の記録
- 作業前後の写真を撮影し、記録を残すことで次回の管理に役立ちます。
- 問題があれば修繕が必要な箇所をメモしておきます。
② 管理日誌の作成
- 実施した作業内容や確認事項をノートやアプリに記録します。
- 不具合があれば、次回の対応計画を立てます。
6. 最終確認と施錠
① 最終チェック
- すべての窓やドアがしっかり閉まっているか確認。
- 必要に応じて電気・ガス・水道の元栓を閉めて、漏電・漏水がないようにします。
② 施錠の確認
- 玄関・勝手口など、すべての出入口が施錠されているか再確認します。
空き家管理は、換気・清掃・点検を定期的に行うことで建物の劣化を防ぐことができます。記録を残し、次回に備えることで管理がよりスムーズになります。安全第一で作業を行い、必要に応じて専門家の助けを借りるのも大切です。
まとめ
空き家の適切な管理は、物件の資産価値を保ち、周囲の環境や地域社会への影響を最小限に抑えるために欠かせない取り組みです。
長期間使用されない家は、自然劣化や害虫被害、さらに防犯面のリスクが高まるため、計画的な点検と管理が重要です。
定期的な清掃や修繕、換気を行うだけでなく、近隣住民とのコミュニケーションを保つことも、空き家トラブルの予防に役立ちます。
また、遠方に住んでいる場合や管理が難しいと感じる場合は、専門業者や地域の管理サービスを活用することも一つの方法です。
管理を専門家に任せることで、時間と労力を節約し、空き家が良好な状態に保たれます。
最後に、大切な資産である空き家を守るためには、
- 「定期的な点検」
- 「適切な修繕」
- 「周囲との協力」
という3つの柱が基本です。
これらをしっかりと実行し、安心して次の世代へと引き継げるような管理を心がけましょう。
適切な管理によって、空き家は将来に向けて新たな価値を生み出す可能性を秘めています。
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空き家問題解決に向けて、一歩踏み出せるお手伝いができたら幸いです。