子どもに残したいのは“負動産”じゃない!【空き家現場レポ】vol.1

空き家現場レポートvol.1
目次

都会から地方へ、空き家に感じた“モヤモヤ”

こんにちは!4児の子育てに追われながらも、空き家が気になりすぎているyukoです。

以前は東京の建築設計事務所で構造設計の仕事をしていました。

耐震計算、柱の太さ、梁の強度。

家の“中身”をどう頑丈にするかは知っていても、

「空き家って、何が問題なのか?」なんてことは、当時は考えたこともありませんでした。

そんな私が、今こうして“空き家のことばかり考える”ようになったのは、

都会から地方に引っ越したときのことです。

水戸駅前の風景
水戸駅前 シャッターが下りたままの店舗が数多くある

駅前の立派な商店街。

なのに、昼間でもシャッターが下りたままの店が並び、

その脇道には、誰も住んでいないのに洗濯物が干しっぱなしの家。

草が生い茂った庭先に、割れた窓。

「あれ? 誰も住んでないのかな?」

最初は、他人事でした。

でも、自分が子どもを育てる街として、

「人のいない家」が放つ、あの独特の空気感がどうしても気になって。

「家って、人が住まなくなると、街の一角だけが枯れたように見える…。」

【無関心ではいられなかった】母として始めた発信

そんな疑問を抱いてから、私は建築の知識とは別に、

「空き家の現実」を知りたくて、調べて、学んで、

そして毎日 X(エックス)で発信し続けました。

「親の家をどうする?」

「実家じまいって何から手をつける?」

「空き家の何が問題?」

誰に届くか分からない。

それでも、自分の言葉を誰かに投げ続けていました。

そんなある日、「TEAMR 」という空き家の活用をしている水戸の不動産会社から、

「一度、現場を一緒に見に来ませんか?」と声をかけてもらいました。

みらい不動産広告
TEAMRの公式HP

言葉を投げ続けていた自分が、今度は誰かの現場を一緒に歩かせてもらえることに。

嬉しさと怖さが半分ずつ。

でも、やっぱり飛び込みたかった。

はじめての現場は、昭和の戸建て

荒れた空き家の室内
私が想像している空き家の室内はこんな感じ

「空き家」って聞いて、どんな家が思い浮かびますか?

古い、埃くさい、ボロボロ、ちょっと怖い。

…私もそう思ってました。ごめんなさい。

でも、空き家現場に入ったその日、

私は考えをひっくり返されました。

私が現場調査に向かったのは、茨城県水戸市のバイパスから少し入った住宅街。

車のエンジンをかけながら、心臓はバクバク。

「もしゴミ屋敷だったらどうする?」

「ドア開けた瞬間、何か出てきたら?」

「ホラー映画でしか見たことないような空き家だったら…」

玄関を開ける瞬間まで、小心者の私はずっとビビってました。

便利な場所ほど空き家は怖い

水戸市の空き家現場
実際の空き家現場 意外にきれい!?

到着した家は、昭和54年築の木造戸建て。

家のすぐそばにはコンビニ、

徒歩3分で図書館と公園、

5分歩けば中学校、小学校も徒歩圏内。

「ここ…めちゃくちゃ便利じゃない?」

新築の戸建てが並び、街並みは整然。

そんなエリアにポツンと一軒だけ空いている家。

「ああ、これが放置されて荒れたら…周りの家にとっても迷惑~!!」

便利さの中に潜む「ちょうどいい田舎」と「放置のリスク」。

車の中では思い至らなかった現実が、

玄関に立った瞬間、ズシンと響いてきました。

「ガラッ」開けて5秒で拍子抜け

古い玄関とチャイム
昔ながらの引き戸玄関。ピンポンチャイム、懐かしい~!

玄関は、昔ながらのガラスの引き戸。

横にちょこんとついた、押しボタン式のピンポンが懐かしい。

そーっと引き戸を開けると…。

ふわっと漂ってきたのは、意外にも木の香り。

床は…ゴミなし。

家具もキレイに並んでる。

古いタンスや食器棚は、ばあちゃん家にあるのとおんなじ!

昔ながらの食器棚
この食器棚、ばあちゃんちにある!

空気はちょっと湿ってるけど、全然「無理!」ってレベルじゃない。

むしろ、

「あれ?ここ、誰かがまだ帰ってくるかも」

そう思わせる空気でした。

台所に残る「暮らしのかけら」

古い台所
この冷蔵庫が臭いんですw

キッチンに足を運ぶと、ガスコンロの上に、

なぜか花瓶?のような謎の置き物がポンと鎮座。

「ここに花瓶置くんだ…?」

ちょっとした小物の残し方が、シュール。

そしてお決まりの冷蔵庫オープン!!

「くっっっさっ!!!」

中身は空だけど、匂いは生きてた。

誰かが開けた瞬間に「うわっ!」ってなる未来が予想できるw

洗面所に昭和が残ってた

二層式洗濯機
懐かしの二層式洗濯機

洗面所には、なんと二層式洗濯機。

「うわ、懐かしい!」

子どものころ、祖母の家でこれを使っていた記憶が一瞬で蘇る。

その上には無造作に置かれたタオル。

「干す時間がなかったのかな。」

そう思わせる生活の痕跡が、そこかしこに残っている。

浴室を覗くと、水色のタイルの風呂場。

レトロなお風呂場
子供の頃、こんなお風呂入ってた!

ちょっとカビが生えているけど、こすれば落ちそうだ。

「壊れてるんじゃなくて、ただ人がいないだけ」

空き家って、そんな存在なんだって、実感しました。

二階は「家族の思い出ミュージアム」

階段をギシギシと上がる。

途中で廊下がスロープになっていて、結構急でビックリ。

階段とスロープがある廊下
階段上り終わったら、スロープの廊下が!

「え? ここ滑ったら一気に落ちるよ~(怖)」

二階には、増築の痕跡と、生活の残り香。

奥の部屋に入ると、古いこたつとブラウン管テレビ。

「子供の頃はこのテレビだった!」

押し入れを開けると布団がどっさり。

「泊まりに来た孫が寝てたのかな」なんて勝手に想像する。

押し入れとブラウン管テレビ
押し入れの天井点検口が、急に開いたんです!こわかった。うちもブラウン管テレビたっだー!

棚にはボードゲーム、結構超大作なペットボトルの工作。

空き家の子供部屋
ペットボトルでこんなの作れるなんて!旅行のお土産もずらり

風でカーテンが揺れるたびに、天井裏の点検口が「ガタッ」と鳴って、ビビる私。

「いやいや、幽霊じゃない。風、風…」

心の中で必死に言い聞かせました。

庭にも「活かせる宝」があった

室外機と外部物置
そこに室外機、置く? 外の物置にはスキーの板やガラクタがたくさん!

外に出ると、庭の片隅に井戸。

しっかり蓋がされ、その上には室外機が無理やり置かれている。

なんだかシュール。

私の家にも井戸があるんです。

ポンプをつけて、今でも庭仕事に使っています。

「この家の井戸も、きっと誰かが使えば地域の水資源になる。」

なんて考えちゃって。

物置を開けると、スキー板が立てかけてあって、

「冬は家族でスキーに行ってたのかな。」

誰もいないのに、その光景が目に浮かびました。

プロの言葉が刺さった

電卓とペン

現場を一緒に回ったのは、TEAMRの関さんとカナさん。

関さんは空き家のプロ。

築年数、利回り、修繕費、全部頭の中に計算が入ってる!

「残置物処分とクリーニングで35万円くらいですかね。

トイレの床はちょっと沈んでるから補強して、洗濯機の水栓も変えるかもしれないです。」

一言一言が、まるで家の診断書を読んでるみたい。

「障子?多少黄ばんでても破れてなきゃそのまま。

全部新品にする必要はないんですよ。」

私はハッとしました。

空き家活用って、ピカピカに直すんじゃなくて、

必要最低限で「もう一度人が住める状態にする」ことなんだ。

投資の視点もリアル

関さんの話が続きます。

「地方の戸建ては、実質利回り20%は欲しいところ。

5年で元を取って、そのあと投資家に300万くらいで売る、という選択肢も考えられますね。」

空き家活用って、単に古い家をピカピカにするんじゃなくて、

空き家って、お金をかけるほど良いわけじゃない。

「必要最低限の修繕」でちゃんと回すビジネスなんだって初めて理解しました。

でもでも、借主が見つからなかったら、赤字ですよね?

気になって空き家活用を担当するカナさんに聞いてみると、

「借主はすぐ見つかると思います!」と笑顔のカナさん。

「ペット可にして、アットホームで募集します。

お子さんがいる家庭もいいですよね。」

なんとも頼もしい返事!

これぞ、空き家ビジネス!

放置された未来を想像してゾッ!

廃墟
放置すると、こんなんになるよ

もしこの家が5年、10年放置されていたら。

草は胸の高さまで伸び、外壁は苔だらけ。

誰かがゴミを投げ込むかもしれない。

ネズミが天井裏を走り回る。

ひとつ荒れた家があるだけで、

きれいな新築の街並みは台無しになる。

でも、残置物を処分して、最低限の修繕をして、

人が住める状態に戻すだけで、

ここはまた誰かの暮らしを支える「資産」になる。

私がこの家から学んだこと

街並み
子供に負の遺産は残したくない!

はじめての現場で学んだのは、

空き家は「空(カラ)」じゃない、ということ。

中には、誰かの時間、思い出、

「また帰るかもしれなかった暮らし」が残っている。

そしてそれは、新しい誰かの暮らしに「つながる種」になる。

私自身、4人の子を育てながら、

「どんな街を子どもたちに残せるだろう?」と考えています。

負の遺産ではなく、

思い出を残しつつ、必要な形で活かす。

それができれば、空き家は誰かの負担じゃなくて、

誰かの未来になる。

最後に|あなたの近くの空き家、どうしますか?

地方都市の風景
子供たちに、つながる未来を

負動産にするか。

子どもたちに「つながる資産」として残すか。

決めるのは、所有者の一歩です。

もし、あなたも空き家所有者だったら

ちょっと立ち止まって考えてみてください。

「負動産じゃなくて、資産にできるかも」って。

TEAMRは、その背中を押すお手伝いをしています。

次のレポートも、またお届けします。

「放置しないことで、つながる未来」を一緒に考えませんか?

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